医療費控除の改正

平成29年分から医療費控除について改正されており、平成30年分の確定申告で2回目なのですが、改めてこの改正内容についてまとめてみたいと思います。

主な改正内容

1.医療費控除の明細書

 ~医療費の領収書添付不要と医療費通知書の利用可~


2.セルフメディケーション税制の創設 ~医療費控除の特例~


上記の1.と2.はどちらかの選択制で、同時利用はできないこととなっています。

1.医療費控除の明細書について

平成28年分以前より少し書式が変わりました。

平成28年分以前のものは、支払日の記載個所がありましたが、それがなくなり、医療機関や薬局ごとに1年間の総支払額を集計して載せることとなり、結果として、支払日の記載欄はなくなりました。

次に、領収書の添付の必要がなくなりました。領収書は、確定申告書に添付せず、手元で5年間保管するということになりました。万が一、税務署から連絡があった場合にはすぐに提示できるようにしておかなければなりません。

その代わりに、定められた「医療費控除の明細書」を作成して確定申告書につけることにより医療費控除の適用が受けられます。

そして、領収書に代わる医療費の集計方法として、健康保険組合から送付される「医療費通知」の金額を医療費控除対象の医療費支払額とみなして計算し、「医療費通知」を添付することができるという制度ができました。

医療費の領収書を1年間分クリニックごとまたは薬局ごとに集計するなんて時間と労力が煩わしい、という方は、ぜひこの「医療費通知」でもって医療費控除の明細書を作成していただければと思います。

ただ、この「医療費通知」、確定申告期間である2月中旬時点で手元に届くのは前年1~10月分までの医療費に関するもののみなので、11月~12月に支払った医療費も集計したい場合には、11~12月分のみ、従来の「領収書を集計する方法」でもって対応するしかありません。

ちなみに、この「医療費通知」添付による方法と「医療費領収書」による集計方法は、併用できます。

また、下記の2.セルフメディケーション税制に対して、上記の(一般的な)「医療費控除」ですが、病気やケガの治療、療養にかかった診療代や医薬品の支払額が10万円※を超えた場合に、その10万円を超えた部分(200万円が限度)について医療費控除として所得控除できる、という制度自体は改正前からなんら変わっておりません。

 ※医療費控除を適用する人の合計所得金額の5%と10万円のどちらか低い金額

2.セルフメディケーション税制について

医療費控除の特例ということで平成29年分より新たに創設された制度です。

これは、端的に言えば、病気ではない人が、健康維持や病気予防のために自主的に「スイッチOTC医薬品」を購入した場合に、その購入額が1万2千円を超えた時にその超えた金額(8万8千円まで)を医療費控除として所得控除できるという税制です。

まず、この制度を適用できる個人の人というのは、自主的に、人間ドッグや、いわゆるメタボ健診、がん検診、予防接種等の取り組みを行っている居住者ということです。

ちなみに、この取り組み(人間ドッグ、メタボ検診、がん検診、予防接種等)に要した費用は、セルフメディケーション税制の対象の費用とはできません。

セルフメディケーション税制の対象となるのは、あくまで「スイッチOTC医薬品」であって、それは、ドラッグストアなどで購入したレシートに星印がついている医薬品です。

上記の1.の(一般の)医療費控除とは趣旨から適用要件まであらゆる部分で異なりますが、金額も1万2千円を超えた金額から適用可能ということなので、1.の医療費控除が10万円超からというところと比較すると、金額面だけで比較するとそんなに病気をしない人にとっては適用可能性が高まるかもしれません。

まとめ

ということで、平成29年分から適用されている医療費控除について、改正点を中心に説明してまいりました。

具体的にわからない部分などは個別判断が必要なものもありますので、最寄りの税務署、または信頼できる税理士にお尋ねください。